[秋田で登山] 雲上のアラスカ庭園「田代岳」へ池塘と湿原を見に行ってきました – その2登山編(2017年7月下旬)

大館市のサテライスオフィス体験事業に参加中、せっかく秋田県まで来たのだから!と秋田県大館市の田代岳(たしろだけ)に登ってきました。

田代岳は決定版 花の百名山・東北の百名山に登録されていて、9合目にある湿原と120もある池塘(湿原にできる池沼)が美しいことから「雲上のアラスカ庭園」と呼ばれています。

7月の初めには9合目の湿原に生息するミツガシワを見て稲作の豊凶を占う「作占い」が行われ、冬には田代岳から白髭大神がふもとに降りてきて飴を買いに来たという伝承から「アメッコ市」が開かれる、信仰の山でもあります。

「やまクエ」や山と渓谷社の「決定版 花の百名山」などの登山情報では、コースタイムが4時間弱で初級向けとあったのですが、これがまー、本当に初級者向けなの?というくらい、私には難易度が高かったです。
登山開始から下山完了まで7時間もかかってしまいました

しかし、9合目の湿原と池塘を見たら疲れも吹っ飛びましたけどね。
本当に見事な展望。
10合目から見る他の山々もとても美しい!

  • アスレチック要素たっぷりの川沿いコースを楽しんだり
  • 大きなブナの森をハイキングしたり
  • 9合目の湿原と池塘を見たり

バラエティ豊かな山の景色に感服です!

田代岳の登山道の様子などを写真とともに紹介します。

田代岳の概要や装備など、「その1準備編」はこちら

[秋田で登山] 大館市の山「田代岳」へ登ろう! – その1準備編(2017年7月下旬)

田代岳登山!難所・見どころ・感想を写真と共に紹介

荒沢登山口到着

五色湖ロッジから車で砂利道を走ること約1時間、荒沢登山口駐車場に到着です。

駐車場は開けていて、車が何台も停められます。

トイレもあります。
トイレットペーパーは置いてあったようですが、使い切っていました。
水道はありません。

装備を整え、いざ登山口へ向かいます。

いざ1合目。やぶを漕ぎ、沢横を歩きます

歩いてすぐ1合目に到着です。(0合目はないそうです。)
草が生い茂っています。

ルート看板は「田代岳を愛する会」の方々によるもの。
田代岳は地元の方に深く愛されていますね。
木の棒をストック代わりに借りても良いみたいですが、持って行きませんでした。
後ほど足にガタがきて転びそうになってから後悔しました。

最近、誰も来ていなかったのでしょうか。
それとも草の生長速度が速いのでしょうか。
腰の位置くらいまで生い茂ってます。

つい先日、大館市は記録的な豪雨に見舞われた後でしたので、地面もぬかるんでいるところが多数。

藪を漕ぎ漕ぎ歩いていくと、沢の横に出てきました。
美しい!

木立から漏れる日光が美しく、とても涼しかったです。

登り始めは寒く感じたので、長袖インナー・半袖シャツ・長袖パーカーの上からレインウェアも羽織っていました。
2合目につく頃には脱ぎましたけど。

2合目に近づくにつれ、登山道のすぐ横に崖があったりなど、気を使う道になってきました。

2合目から川沿いコースへ。ザ・アドベンチャー!

2合目に到着です。

2合目を少し過ぎると、川沿いコースと林間コースに分かれます。
「増水していなければ川を通りたいわ!」ということで川沿いコースへ!

すぐ横は崖。
川はまだ下の方に見えています。

ま、これくらいの崖なら、田舎の祖母の家がこんな感じなので問題ないと余裕をこいていましたが、

これはいけない。
この崖道は怖い!!!

霧が出ていたり、夜遅くなったら、私には無理!
こういうちょっと危ない崖が1合目から3合目の間に2箇所くらいありました。

そうこうしているうちに川に近づいてきます。

川に出ました。

え?道ある?と戸惑い、YAMAPで位置確認。
ここであっているようです。
行くか!
行きますか!
と川を渡ります。

足を踏み外さないよう、倒木の上を慎重に渡る夫。

ドボン!
努力むなしく、沢に足を突っ込んだ瞬間を激写。

水は澄んでいたので、たいした被害はありませんでした。
ゴアテックスで良かったねー。
全然水が染み込まないねー。
トレッキングシューズを履いてきて本当に良かった!

川沿いコースで一番楽しみにしていたロープワーク。
キャーキャー言いながら渡りました♪
ロープをつないでいる木はしなるので、つかんでもそんなに支えてくれません。
あくまで補助です。

ちなみに私はこの川で2回ほどこけました。
怪我はしませんでしたが気をつけないと!

美しい苔の生えた岩とアドベンチャー感満載の沢の流れにさよならし、林間コースと合流します。

時々、リボンやペンキの道標があります。
これを見つけると本当に安心します。

3合目あたりからは歩きやすく美しいブナ林

林間コースと合流して、4合目・5合目あたりまではとても歩きやすい登山道が続きます。

大木にからまるツタ。

ブナとその他の木たちが生き生きとしています。

あまりにも歩きやすいので、ブナ林を堪能しているうちにあっという間に3合目です。

3合目でちょっと休憩し、また歩き始めます。

4合目で大広手登山コースと合流です

4合目で大広手登山コースと合流(分岐)です。
大広手登山コースも人気のあるコースとのこと。

沢が枯れています。雨の日には川になるのかしら。

まだまだ歩きやすい美しい森が続きます。

人間と森の大きさ比較。
本当に大きな木!

少しずつ道はゴロゴロした石が増えてきます。

美しい森の苔。
本当に気持ちのよい山散歩ができました。

5合目からは静けさと熊の恐怖に怯えます

5合目です。
上荒沢コースとの合流(分岐)地点です。

休憩しようと思いましたが、虫が寄ってきすぎて断念。
田代岳は8月ごろになるとアブが増えるそうです。

道は石と木の根っこが増えてきました。

左右は背の高さまである笹薮があり、熊が潜んでいるのではないか、とビクビクしちゃいます。

沢の音が消え、時々鳥が鳴くくらい。
圧倒的な静寂が広がります。

熊に出会わないよう、熊よけの鈴を鳴らしつつ、お互いに声をかけあいながら登ります。

6合目から9合目まで、石・石・石の上り坂!足元がおぼつかなくなってきました…

6合目です。
もう足場は石ばかりの上り坂です。

私の足は悲鳴を上げ始めています。
フラッフラ。
どんどん口数が減ってきます。

この時点で目安のコースタイムから大幅に遅れています。
帰りの時間を計算してなんとか15時には降りれそうだ、ということで進むことに。

7合目。

木の根っこが石に絡み付いていて、なかなかの美しさです。

もののけ姫のこだまが出てきそう。

8合目。

まだ登りが続きますが、背の高い木が少なくなってきました。

そして目の前が開けてきて…

9合目の高層湿原に到着です!!

9合目。湿原に到着!美しい!!!!

9合目は湿原と池塘のある開けた場所。
木道が設置されています。
とても気持ちよい!

池塘に空が映り込んでいます。
晴れの日を狙ってきてよかった!

6月中旬から7月初めにミツガシワが咲いているそう。

そのミツガシワの咲き具合で稲作の豊凶を占う伝統行事「作占い」が行われるんですって。

湿原に咲く花たち

ミツガシワの季節は終わっていましたが、湿原にはたくさんの植物が咲いていました。

トンボが多かったです!
これから先の写真、トンボが映りこんでいます。

湿原はキンコウカが多く咲いていました。

そしてキンコウカには蜜を集めにきた蜂も多かったです。
昼食中、アクエリアスを開封した途端、蜂が寄ってきて笑えちゃいました。
これは蜜じゃないよー(笑)

ギボウシ系かしら。
この花も多く咲いていました。

ワタスゲ?
もっとふわふわのイメージでしたが、終わりかけなのかしら。

ちっちゃいちっちゃい白い花がいっぱいついている花。

うーん。なんていう花でしょう。

わかんない…

山野草に詳しければもっと楽しめるのだろうなーと思いつつ、山頂を目指します。

10合目。山頂からの景色が素晴らしい!!!

山頂へ向かう途中、池塘群が見えました。

青空を映してとってもきれい!

鳥居をくぐるとすぐに山頂です。

田代岳登頂!
山頂の田代神社は強風で半壊しています。
この秋、建て替え予定だとか。

この山から冬には白髭大神がふもとに降りてきて飴を買うんですって。それに由来して大館市では冬に「アメッコ市」が開かれるそうな。

なんか素敵。

無事にたどりつけたことに感謝してお昼ご飯をいただきました。

さて、雲は出てきましたが、なかなかの天気だったので、遠くの山々まで見ることができました。

山頂に見える山と方角を示した案内看板があるものの、なかなかどれがどれかわかりません。
(山の名前がわからなかったので、大館市のサテライスオフィス体験事業の担当の方に教えてもらいました。)

手前の山が十ノ瀬山(とのせやま)で、その奥の高い山が森吉山(もりよしざん)。
晴れていると海や鳥海山まで見えるとか。

白神山地も見えるはず。

町が見えます。
大館かしら?それとも青森かしら?

こちらは岩木山(いわきさん)。

遠くに見えるのが八甲田山(はっこうださん)。
山頂からは360度、美しい山並みを見ることができました。

下山は順調。雨だけは降らないで、霧だけは出ないでと願いながら

9合目の湿原をもう半周してきましたが、木道が途絶えるところもあり、藪も高く、ちょっと熊が出そうで怖かったです。

天気が崩れる前に、日が落ちる前に、2合目から1合目の崖横を通ってしまいたいと焦りつつも、9合目から6合目までの石と木の根っこでこけないよう注意しながら、一歩一歩下山開始です。

2合目〜3合目は林内コースへ

3合目を降りてすぐに林内コースへ分岐。
分岐はこの倒木が目印。

沢を渡って林内コースへ。

美しいブナ林。
歩きやすいとはいえ、もう、足はヘトヘト。
多少の階段や上り坂にも一苦労です。

最後の難関、崖横は気を張って歩く!

一番怖かった崖横。
日もまだ落ちていませんし、霧も出ていません。
無事渡れました。

下山完了!

下山完了。
予定より1時間遅れですが、日があるうちに降りられました。

一番しんどかった場所は…

しんどかったのは、6合目から9合目までの石の登り道。

滑落が怖かったところは、1合目から3合目までにある崖横の細い道。

熊が出そうで怖かったところは、全部ですが、特に藪の背が高いところ。

平日だったからか登山客が一人もいなくて、沢と鳥の鳴き声以外は無音でした。

熊よけの鈴を持っていきましたが、あまり上体が揺れなかったため、鈴が鳴らないことも。
沢の横では音がかき消されるし。

なので、時折、大きな声で「ヤッホー」と叫んでみたり、自分で鈴を大きく揺らして鳴らしてみたり、夫と掛け声かけながら登ったり、いろいろ音を出す工夫をしました。

一番楽しかった場所は…

川沿いコースのロープ渡りとか!
アスレチック気分で楽しかったです。

「本当にここを歩くの?道あってる?」となんどもYAMAPとにらめっこしながら、すべって転びながら、靴がゴアテックスで良かったと感謝しながら、大変だったけど、それも醍醐味。

大館市は数日前に記録的な豪雨に見舞われたので増水が心配でしたが、川沿いへ行けて良かったです。

一番美しかった場所は…

やっぱり、9合目の湿原と池塘群が一番ですね。
心が洗われました。

あと、ブナ林も美しかったです。
大きかったです。
生命力に満ち溢れていました。

それから10合目から見た遠くの山々。
達成感を得ることができました。

登山道で見かけた花や虫たち

熊にも野生の動物にも出会いませんでしたが、山中にはウグイスを始めとした鳥たちの鳴き声が聞こえていました。

トンボがとても多く、蜂(ミツバチ?)やハエ、蛾や蝶も飛んでいました。
夏になるとアブが多くなるそうです。

登山道で見かけた花や虫たちの写真もちょろっと紹介します。











ヒルはいませんでしたが、大きなナメクジに遭遇しました。
本当にでかいんですよ!

翌日以降の体調など

全身筋肉痛!
どこもかしこも2日ほど痛くて痛くて…
立っているだけで足がプルプル震えてきます(笑)
もっと筋肉つけなければいけませんねー。

やまクエ(難易度レベルから選ぶ登山・トレッキングコースのサイト)では猿投山よりも難易度が低いと書いてあったのですが、私にとっては猿投山の方が断然楽でした。


私にとってはとっても難易度の高い山でしたが、9合目の湿原は本当に美しく、心が洗われました。

もし次登るときは秋もいいなーと思っています。
紅葉の季節のブナ林がとても美しいようです。

田代岳について詳しい情報はこちら 田代岳県立自然公園 – 秋田県大館市

田代岳の概要や装備など、「その1準備編」はこちら

[秋田で登山] 大館市の山「田代岳」へ登ろう! – その1準備編(2017年7月下旬)